水なすの豆知識

数千年の歴史を持つナスの原産国はインドです。
熱帯地で栽培されていたナスはやがて中国でも栽培されるようになったそうです。
日本には奈良時代に中国から伝わったとされています。
長い歴史を経て、品種改良が進み、
もともと熱帯性のナスも現在の日本では全国で栽培されるほどになりました。
日本各地で様々なナスの品種があり、種類ごとに特徴があります。

ナスの品種紹介

日本で栽培されているナスは細かく分けると何十種類とありますが、その中でも有名なナスを紹介します。

・千両ナス
長卵型のナスで多くの地域で栽培されています。皮・果肉ともに柔らかく、調理しやすいのが特徴。流通量も長卵型全体でみるともっとも多いのがこの品種になります。
・長ナス
栽培される地域によって様々な長さがあります。見た目は細長く、皮は分厚く硬めですが果肉が柔らかいため、いろんな料理に使われます。流通量が多いナスでもあります。
・米ナス
アメリカの品種を日本で改良されたといわれています。ヘタが緑色で皮は濃い紫色、大型のナスになります。皮が厚く、果肉の硬くしまっているので漬物には向かず、焼いたり煮物などに適したナスです。
・丸ナス
京都の賀茂ナスが有名です。まん丸とした形が特徴で、甘みがあり果肉は硬くしまっています。田楽だけでなく煮物や揚げ物にも向いています。
・水なす
大阪泉州地域で栽培される品種で形はたまご型。ナスの中でも皮の薄さ・水分量・甘みが強い品種になります。主に漬物として流通。
料理にも使われますが、灰汁が少ないため生でもおいしいのが特徴。流通量が少ないため希少な品種になります。

呼び名

 諸説ありますが、夏にとれる野菜であることから(夏の実)から(なすび)と言われるようになりました。また、(早く実が成る)ことから(なす)といわれたという話もあります。
現在の日本では(ナス)や(ナスビ)の名称で呼ばれており、英語では(egg-plant)といわれ、卵に似た形からそのように呼ばれています。

「秋なすは嫁に食わすな」

 このことわざには2つの意味があるとされています。美味しい秋のナスはもったいないから嫁には食べさせるなといういじわるな姑が嫁いびりに使った言葉。もう一つは、ナスは体を冷やす効果があるので涼しくなる秋にお嫁さんが体調を崩さないよう気遣いのため使った言葉。後者であってほしいですね。

「一富士二鷹三なすび」

初夢に見ると縁起がいいと言われています。理由は富士山は日本一の山。鷹は掴み取る。なすは実に成る事から「子孫繁栄」や「成功する」という意味だそうです。諸説ありますが良い意味であることは間違いなさそうです。

水なすの実は・・・な話

水なすって他のナスと何が違うの?水なすっていつからあるの?水なすはなんで泉州の一部の地域でしか作られていないのか?などなど三代に渡り水なす栽培をしてきたからこそ知っている泉州水なすの実は・・・な話を紹介します。

「水なす」の名前の由来はその名の通り瑞々しく 他のなすよりも水分が多いことから「水なす」といわれるようになりました。

水なすは大阪南部にある泉州地域で栽培されているなにわ伝統野菜です。和泉市、岸和田市、貝塚市、泉佐野市、泉南市が主な水なすの産地になります。
 ここまで栽培地域が集約されているのには理由があります。泉州地域には水なすを栽培するために絶対的に必要なため池が全国でもトップクラスに数多く点在しています。そのため、水なす栽培に必要な量の水を安定して使うことができます。
 また、泉州地域は山と海に囲まれ、温暖な気候なので水なす栽培に適しています。全国でも似た気候で水なす栽培を始める地域がありますが、そのほとんどがうまくいきませんでした。ナスの中でも栽培が極めて難しいとされる、水なす栽培の技術はもちろん、土壌の違いも大きな原因とされています。 海に近い土壌は程よく塩分があり、砂地質のため、強い根を張る水なすにとって育ちやすい環境になります。
 実は、同じ泉州水なす農家さんでも浜側と山側では土質も違い、気温差があるので水なすの形や味が違ったりもします。職業柄、私たちは見て触ればある程度どこの水なすかわかります。また、ビニールハウス栽培と露地栽培の水なすには大きな違いがあります

水なすの栽培方法

 水なすは、ビニールハウス栽培、ビニールハウス(加温)栽培、露地栽培の3パターンあり、当農園も行っている主流の水なす栽培方法はビニールハウス栽培になります。出荷時期は2月中旬頃〜10月初旬頃。露地栽培は5月頃〜11月下旬頃まで出荷されています。
 また、最近では10月頃〜の出荷を目的としたビニールハウス(加温)栽培もおこなわれています。ただし、加温栽培は温暖で育つ水なすを温めるため、設備投資や重油代などの生産コストがかかる上、夏場に比べ需要も少ないため生産者は少ないです。露地栽培はハウス栽培に比べ、野外での栽培となるため雨風などの影響を受けるのでキズがつきやすいです。ナス紺色が濃く、種が多いのも特徴です。


水なすは寒いのも暑いのも苦手

水なすを含めナス全般は夏野菜ですから寒さに弱いのは有名ですが、意外と暑さにも弱いのです。水なす漬物がお中元などの贈答品として需要が増える7、8月は水なす出荷の最盛期であり、一日の収量がそれまでと比べ数倍になります。その頃のビニールハウス内の温度は40℃近くまで上がります。湿度もあり、体を使う作業なので体感温度は50℃くらいになります。ハウスから外に出ると真夏なのに涼しく感じます。
 このように人も体力的にキツイ夏の農作業ですが、水なすも暑さと闘っています。気温が高くなり太陽が照りつける夏場になると水なすが「ボケナス」になってしまいます。水なす農家はボケナスの事を「ボケる」や「ボケ」ともいいます。
 ボケナスの見た目はツヤがなく、炭のようなマットな色になります。ボケが進むと皮も硬くなり水なすの水分量が減るので果肉がパサパサしてしまいます。出来る限りボケないよう温度管理や水やりなどに気を張ります。ボケてしまった水なすは品質ランクが落ち、加熱しない漬物には向かないため一般的にスーパーや直売所、道の駅などで販売されています。ボケナスは料理に使うとA品と変わりなく美味しく食べられます。

いいものだけがぬか漬けに

一般的には出荷できないものやB級品が加工品になりがちですが、水なすは質の良いものがぬか漬けなどの加工品になります。
 収穫した水なすは形・艶・重量などを見て品質のランクを分けていきます。A、B、C、D、外(ガイ)の5種類に細かく選別していきます。最盛期は一日数千個もの水なすが採れるため、一個につきわずか1秒ほどで選別します。
選別した中から質の良いA品と見た目が少し劣るB品が主に漬物屋さんへ出荷されます。
 当農園でも水なすを漬ける際、A品は「特撰」と呼びB品は「家庭用」と呼んでいます。

 水なすの特徴は薄―い皮と瑞々しく甘い果肉。灰汁の少なさも特徴です。そんな水なすはA品がもっともその特徴が生きており、ランクが落ちるほど劣ります。また水なすは贈答品として使われることが多いこともあり傷が少なく見た目の良いA品が漬物に加工されるのです。
 キズのついた水なすはキズのないものよりポリフェノールなどの栄養価が高いことが分かっており、それらC品〜は漬物だけでなく生食や料理用としてスーパーや直売所などに出荷されています。
 また、水なすは傷みやすくキズが付きやすいため、ぬか漬けする際の塩もみは一つ一つ手作業で丁寧にしなければなりません。当農園では水なすの選別後、すぐに目の前の漬物加工場にて漬けるので鮮度が良すぎてトゲの鋭さがすごいんです。最盛期には指に「トゲだこ」ができるほどです。

泉州水なす=水なす漬け

 水なすは全国に出荷される際、そのほとんどが水なすの漬物として流通しています。水なすの液漬けや塩漬けなどもありますが主に水なすを短期間(1日〜6日程度)ぬかに漬けこんだ「水なすぬか漬」が主流になります。(長期間漬けこまないため水なす浅漬け・水なす漬けともいわれます。)生産した水なすの多くをぬか漬けにする理由は、他のナスに比べ皮が薄く、灰汁も少なく、握るとしたたり落ちるほど水分たっぷりの水なすは「漬物にするのが一番おいしいから」です。ぬか漬けにすることでより甘みとジューシーさが増し、ナス嫌いの人でさえ唸るほどの美味しさを味わえます。当農園では余計な調味料は一切使用せず、水なす本来の甘み・瑞々しさを生かした「水なすぬか漬け」を製造しています。

 またぬか床へ長期間(最短1ヶ月〜最長1年程)漬け込み、熟成発酵した水なす漬物もあり、泉州地域では「水なすの古漬」といいます。日本の各地域により呼び方が違い「田舎漬け」や「ドブ漬・どぼ漬」ともいわれています。
こちらも根強いファンがいるほど美味しい一品です。泉州地域では昔は各家庭で作っていましたが、現在では自家用に作る家庭も少なくなり、「水なすの古漬け」を知らない若い人たちも増えてきています。
 作らなくなった理由としては古漬けはぬか床の仕込みから漬けこみ、長期間熟成や温度管理や塩分調整など難しく、手間暇がかかるからです。現在では製造業者も少なく、あまり流通しなくなりました。当農園では「ぬか床」を作る際、水なすの古漬けも製造していますので是非ご賞味ください。どこか懐かしい味がする「水なす古漬」もオススメの一品です。

水なすの郷土料理〜じゃこごうこ〜

 泉州地域に古くから伝わる郷土料理に「じゃこごうこ」と言われるものがあります。泉州水なすの古漬けと大阪湾でとれるエビを生姜と一緒に炊き合した料理です。名前の由来は海老じゃこと水なすのお漬物(香の物=こうこう)を合わせて「じゃこごうこ」となりました。泉州地域では昔から豊作でとれすぎた水なすは冬の間の保存食を目的としてぬか床へ漬け込まれ、古漬けとして食べられていました。また、大阪湾で大量に獲れた海老じゃこと一緒に炊き合わせると非常に美味しく、お金もかからない料理だったことから昔の泉州地域では生活の知恵としても親しまれてきました。
 現在ではぬか床を持たない家庭が増えたこともあり、食べる機会も少なくなり、「じゃこごうこ」を知らない世代も増えてきましたがこれからも残していきたい泉州の郷土料理です。

生のまま食べても美味しい水なす

ナスの中でも唯一、生で食べられるのが水なすです。水なすは皮が薄くアクが少ないため薄くスライスして他の野菜とサラダにしたり、塩コショウとオリーブオイルでイタリアンの前菜のような食べ方でもおいしい水なす。祖父いわく昔は夏の暑いビニールハウスの中で水分補給に、収穫したての水なすを生のまま丸かぶりしていたそうです。水なすならではの話ですね。

水なすは色んな料理に使えます

他のナスよりも皮が薄くて水分が多いから煮物なんかは煮崩れしそう。とおもわれがちですが、実は和洋中すべての料理に水なすを使えます。油と相性が良いのはもちろん、焼きナスから天ぷら、マーボー茄子、煮物でも水なす の味が生かされます。ただ、他のナスよりも皮が薄く水分が多いので、多少煮崩れしやすいのも事実です。煮物にすると水分がたくさん出るので水の量を少量にするのがポイントです。中出農園では野菜ソムリエの母が考案した多数の水なす料理レシピを公開していますので参考にしてみてください。

水なすの栄養素

水なすはその名の通り多量の水分を含んでおり、約90%以上が水分になります。その割に栄養価は高く、カロリーは低いため美容やダイエットにも良い野菜です。
主な栄養。
ビタミンB群・ビタミンC、カルシウムや鉄分、カリウムなどのミネラル分、食物繊維までバランスよく含んでいます。中でもカリウムは余分な塩分を体外に排出する働きがあるのでぬか漬けに適した野菜でもあるんです。

水なすに含まれるアントシアニンはナスニンというポリフェノールの一種でクロロゲン酸などの強力な抗酸化作用があり、ガンや生活習慣病のもとになる活性酸素を抑える力があります。他にも血栓ができるのを防いだり、コレステロールの吸収を抑え、血液をサラサラにする効果があり、高血圧や動脈硬化の予防にもいいです。体の老化を防ぎ、目の疲労改善、体を冷やす効果もあり、夏にピッタリのからだに良い野菜です。


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